最近、マーケティングやゲーム作品に使用されたアートが、生成AI使用の可能性も含めて公に精査される事象がいくつか発生しています。当社が過ちを犯していたケースもありましたが、同時に様々な形の誤認によって、アーティストやその作品に問題があると判断されていたケースもありました。
そのため、マジック:ザ・ギャザリングとダンジョンズ&ドラゴンズの委託アートに関して、発表前と発表後の両方における生成AIの懸念をどのように評価し、対応するかについてのFAQを共有します。生成AI分野は常に進化しています。よって、このFAQは当社が皆さんと一緒に学んだことを反映させるために、継続的に改訂していきます。
アートに関するポリシーはどうなっていますか?
どちらのブランドにも独自のアーティストハンドブックがあります。これらの文書は公開されていませんが、当社と協力するすべてのアーティストに渡され、ガイドラインを遵守することが求められます。
マジックおよびD&Dは、美しく独創的なゲームを形作る才能溢れる人々の革新性、創意工夫、そして努力の上に築かれてきました。これが当社のポリシーの核心です。そのため当社は、マジックおよびD&Dに貢献してくれているアーティスト、ライター、クリエイターに対して、マジックやD&Dの製品作成に生成AIツールを使用しないよう求めています。
当社は他にもいくつかの声明を発表してきましたが、マジック:ザ・ギャザリング製品について、生成AIアートに関するポリシーを示した直近の声明は以下の2件です(この内容は当社のアーティストハンドブックにも記載されています):
https://magic.wizards.com/en/news/announcements/generative-artificial-intelligence-tools-and-magic
https://magic.wizards.com/en/news/announcements/an-update-on-generative-ai-tools-and-magic
ダンジョンズ&ドラゴンズからも同様の声明が出されています:
https://www.dndbeyond.com/posts/1642-updated-statement-on-ai
https://twitter.com/DnDBeyond/status/1736861131149648167
生成AI使用を検出するためにどのようなツールを導入していますか?
私たちは、生成AIを検出するためのリソースを定期的に査定しています。これらのツールは非常に新しいものであるため、当社は今後も「人間の関与」を継続していくことを重視していきます。
(2024年6月12日に追記)その才能によって当社のゲームに貢献してくれるアーティストやクリエイターとの連帯をさらに強化するため、当社はカスタマイズされたAI検出ツールを開発および導入するべく、AI検出プラットフォームArtistreeを使用したパイロットプログラムに投資しています。生成AIがPhotoshopなどのツールで標準になりつつある今、アーティストにとってさえその使用の発見が難しい場合があることがわかっています。Artistree Human Certificationは、アーティストやクリエイターとともに構築され、アセット開発における人の手による著作物の検出や、生成AIの不正使用の検出に特化したプロジェクトです。
アート作品における生成AI使用を、社内のプロセスやツールで検出できなかったケースにはどのように対処しますか?
調査プロセスはほぼ同じです。当社は私的および公的な報告からあらゆる情報を収集し、アートを再検討し、ツールを再実行し、作品を制作したアーティストと再度の話し合いを設けます。当社のアートに関するポリシーへの確実な違反が初めて発見されたのが公の場であった場合、多くの場合は声明を発表することになります。
AIの使用について情報を十分に公開しないのはなぜですか?
当社は可能な限り透明性を保つよう努めますが、そのために人々のプライバシーや生活を犠牲にすることはありません。当社のアーティストは、制作するすべての作品において自ら名前を公開しています。当社の最優先事項は、可能な限り彼らのプライバシーを保護することです。つまり、生成AIアートの使用に関するすべての公の議論が、当社による声明の発表につながるわけではないということです。
しかしながら、当社はこれまでもそして今後も、アート作品への生成AIの使用を認めないことを明確に宣言します。検出が難しく、境界線が曖昧になることもありますが、長年にわたりファンを喜ばせてきた才能ある人々の手でアート作品が作られるよう、懸命に取り組んでいきます。
[アート作品名]は間違いなくAIに見えます。なぜこのことについて対策を取らないのですか?
当社がAIアートに関するオンライン上の議論に反応しない場合、以下のような理由が考えられます:
- 調査の結果、生成AIが使用されていないことが判明した。
- 個人のプライバシーを保護するため。
- 調査の結論が出なかった。
- アーティストとの仕事を以降断るなど社内で変更を行ったが、公にはコメントをしなかった。
当社は、こうした問題やアーティストとの交渉は可能な限り社内で処理したいと考えます。それが不可能な場合は、明確かつ簡潔な説明を行うとともに、問題のアーティストと当社の両方にとって状況のさらなる混乱を防ぐために行動します。
[アーティスト名]とのコラボをやめたようですが、何もコメントしていませんね。なぜですか?
アーティストとの協力関係は、アーティストが別の方向に進むことを決めた、当社の進化するスタイルと一致しなくなったなど、さまざまな理由で変化する可能性があります。アーティストが次のマジックのアートを制作するまでに何年も間が空くこともあります。
[他のHasbroブランド]が生成AIを使用中または使用予定だという話を見ました/読みました。マジックやD&Dと何が違うのですか?
Hasbroは1900以上のブランドを擁しており、マジック:ザ・ギャザリングとダンジョンズ&ドラゴンズは中でも非常に重要で大切な2つのブランドです。各ブランドの製品へのアプローチはそれぞれ異なります。『Trivial Pursuit』にとっての最善が、マジック:ザ・ギャザリングやダンジョンズ&ドラゴンズとは大きく異なる可能性は大いにあります。
このFAQで覚えておくべき点が1つだけあるとしたら、それは何でしょうか?
人間は、企業のような集団であれ、アーティストのような1人の人間であれ、間違いを犯すものです。完璧さと透明性の間の緊張関係において、当社は透明性に関する誤ちを犯しました。これまで述べてきたように、マジック:ザ・ギャザリングおよびダンジョンズ&ドラゴンズのアートにおける生成AIに関して、当社は一貫した立場を貫いてきました。 たとえ途中でつまずくことがあっても、この約束を果たすためには何が最善かを考え続ける姿を見てもらえるよう尽力していることを、コミュニティの皆さんに知ってもらいたいと考えています。